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るい(CRZ・VVN・BVBサポのブログ)

主にC大阪・V長崎・BVB関連について書いていきます。

【V・ファーレン長崎】毎熊晟矢を知っているか

毎熊晟矢(まいくませいや)。今季、桃山学院大学から加入した選手だ。
V・ファーレン長崎の公式サイトで紹介されたプレーの特徴は「瞬時に相手を翻弄する判断力と技術を持ち合わせ、フィニッシャーにもパサーにもなれる。得点感覚に優れた万能型のストライカー。」
そんな毎熊がどのような経験を経て今に至るのかを見ていこう。

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東福岡高校では絶対的エースストライカーの控えだった

毎熊が3年次の時の東福岡高校は、夏のインターハイ・冬の選手権の二冠を達成し、高円宮杯U-18プレミアリーグWESTでも2位とその年の高校サッカー界ではまさしく「最強」だった。

高校時代の毎熊は同学年のストライカー餅山大輝(鹿屋体育大学→現・ヴェルスパ大分)の陰に隠れていた。2年次まではBチームでプレーしておりAチームでプレーすることは大きな目標だったが、そこには大きなライバルの壁があったのだ。
毎熊のプレースタイルは中央でボールが来るのを待つのではなく、動きながら周りを使ってゴールを目指す。トーマス・ミュラー(現・バイエルンミュンヘン所属)のようなムービングアタッカーだ。
東福岡でFWとしてプレーするには、個で打開するとようなプレーをしないといけないと思う時期もあったそうだ。しかし、同学年にはそのタイプの餅山(大輝)もいて、自分らしさを捨てるのではなく、『自分なりのセンターフォワード像』を追求した。

プレミアリーグを戦う中、餅山が負傷し、毎熊にチャンスが回ってきた。2015年04月26日。プレミアリーグWESTの第3節・名古屋U18戦だった。
毎熊はセンターフォワードの位置で先発すると、前半16分と45+1分にゴールを決め2-1での勝利に貢献した。それからは第4節から第10節まで(全18節)スタメンの座を守り続け、通算4得点と結果を残した。第11節(2015年08月22日)からは餅山が復帰し出番は減ったものの、毎熊はセンターフォワードとして大きなものを得ただろう。

しかし、夏のインターハイでは決勝戦含め全5試合に先発出場し優勝に貢献するも無得点。
冬のインターハイでは餅山が完全復活したため3回戦以外の5試合に全て途中出場となり、得点は奪えなかった。(餅山は4得点を記録)

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サイドバックへの抜擢

高校卒業後は桃山学院大学に進学し、その後V・ファーレン長崎へ加入することになる。2020シーズン開幕戦からベンチ入りを果たすと、後半44分に吉岡雅和に変わって途中出場し、3-4-2-1の2シャドーの位置で、Jリーグデビューを果たした。

新型コロナウイルスの影響でリーグ戦は4ヶ月の間中断することとなり、その間はもちろん非公開で練習が行われた。
迎えた2020年6月27日、J2リーグ第2節ギラヴァンツ北九州戦で毎熊は初スタメンを掴む。しかし、前線の攻撃的なポジションではなく、「右ウイングバック」でのスタメンだった。その頃、右ウイングバックは米田隼也が務めており、リーグが再開しても不動だろうと誰もが思っていた。手倉森監督は毎熊をコンバートしたのだ。前半5分、右サイドの敵陣深くでボールを受けた毎熊は中央へグラウンダーのクロス。ボールはファーに流れ、逆のウイングバック亀川諒史がダイレクトでシュートを叩き込んだ。毎熊は初スタメンでいきなりアシストを決めみせたのだ。

第3節のアビスパ福岡戦では4バックにシステムを変更するも、毎熊のスタメンは変わらない。それよりも、かなりの速度でサイドバックとしての能力を高めていく。第5節のFC琉球戦でセットプレーからヘディングで叩き込みJリーグ初ゴール。ものすごいサイドバックが長崎に誕生しようとしていると感じた。

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サイドバックとしての成長

私はサイドバックに必要な能力は「自陣から敵陣までを上下動できるスピード・スタミナ」「味方の攻撃が行き詰まった時の攻撃参加」「サイドの局面での対人能力」の3つがあると思っている。毎熊の場合、最初の2つは元FWということもあり、ピカイチだ。
第16節の新潟戦、2-2の後半アディショナルタイム+6分の場面。長崎が自陣からクリアをし、試合終了かと思われたところで植中朝日がそのボールを拾った。すると連戦中の試合終了間際という厳しい時間にもかかわらず、毎熊がボールを受けに猛然と走ってきた。そして植中からのパスを受けた毎熊は突破を試みて、ファウルを受けてFKを獲得するのである。得点にこそならなかったが、毎熊のFWとしての能力が生きた場面だ。

問題だったのは守備力だ。もちろんサイドバックでプレーすることは初めてで、FWの前線からのフォアチェックとは全く違う守備が求められる。実際にコンバートされて間もない2節の北九州戦や3節の福岡戦では守備の粗さが目立った。本当は前のポジションがやりたかった毎熊。しかし「前も後ろもやれたらいい経験になる」と守備陣の先輩たちにアドバイスを求めた。その後、サイドバックとして試合を重ねていくにつれ守備もどんどん成長し、ボール奪取能力も高くなっていった。チームが連戦でターンオーバーをした時も毎熊はスタメンで出続けることが多く、手倉森監督からの信頼も絶大だ。

最近では有名な記者が毎熊を取り上げることもあり、日本代表への選出も期待されている。そのためには、今シーズン何が何でもJ1へと昇格することだ。第17節終了時点で勝ち点37と首位につけている長崎。2位北九州との勝ち点差は2、3位徳島との勝ち点差は4だ。厳しい連戦が続くが、しっかり勝ち点を積み重ね、J2を制覇し、夢の日本代表へと駆け上がってほしい。